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相見積もりの取り方の時間
 相 (あい) 見積もりは、合い見積もりとも書き、この表現を使用される方も多いようですが、私は初めて見たのが相見積もりだったことと、「合わせる」よりは「相対させる」方が実情に近いのではないかという考えから、「相見積もり」の表現を好んで使用しています。しかし、こんなことはどうでもよろしい。つまり、複数の業者から見積もりをとる行為のことだとご理解ください。
  仕事柄、相見積もりには日々接するのですが、正直に申し上げて「嫌なもの」ではありません。上手な相見積もりは、かえって歓迎したいくらいです。しかし、お客様の対応によっては非常に「不愉快なもの」になる可能性があります。ここでは、相見積もりの上手なとり方を勉強しましょう。
 
1 相見積もりをとる目的を確認する
 相見積もりをとる目的は、お客様により異なりますが、一般的には以下のような内容が考えられます。

・ だいたいの相場(平均的な価格)を知りたい。または、安い業者を見つ けたい。
・ 工事の説明を聞き、会社の考え方や姿勢を知りたい。
・ 特に上記のようなことはないが、1業者の話で決めるのは不安なので、 複数の業者に聞くことによって安心したい。

  つまり、価格の問題、会社の問題、心の問題の3つの内容をクリアするために相見積もりは行われるものです。この中で「心の問題」を解説すると、自分は良いと思って頼んだ会社なのにあとで友人・知人に色々言われ自信がなくなったりします。しかし、相見積もりをとることで、「それでもこちらがこの理由で良いと思った」とある種の信念がささやかながらも生まれ、精神面の安定につながり、業者を信頼する気持ちが維持されます。
  実はこれが非常に重要なことであって、お客様が業者の言葉や工事に対して不安や疑い等、マイナスの感情を持つと、不思議なほど工事はダメなものになっていきます。これはもちろんのこと、手を抜いたりすることはなく懸命にやるのですが、どうしても悪い流れにはまりやすく、一度悪い流れになると容易なことではその流れを変えることが出来ません。反対にミスがあっても信頼する気持ちがあると、工事というものは良い流れを維持し何とかまとまるものです。このことは、年配の方ならよくご理解いただけるのではないでしょうか。
  相見積もりは、「安い会社」をさがすためだけに行うものではありません。
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2 書面を用意する等の準備をし、全く同じ話(説明)をする
 目的の一番目に価格の問題をあげましたが、価格を比較するために同じ話をすることが必要です。相見積もりでよくある失敗は、業者によって違う話をして単純に比較できない環境を自分で作ってしまっていることです。理想的には、依頼したい内容を紙に書き出し(それほど詳細でなくとも良い)、コピーしておいて業者に手渡します。自分でもそれを見ながら同じ話をする。それで初めて色々な比較が可能になります。依頼内容のみではなく、気になっていることや、不安なことなども記入しておけば、業者の提案力や姿勢といったことまで比較が可能になります。
  最初の業者と話した後で、思いついたことがあっても、それも次の業者には言わないことです。たとえ追加でも、もとの内容に影響のある可能性が高いですし、また全ての工事内容を話す必要はありません。その理由は次にゆずります。
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3 内容はできるだけ簡単にし、詳細は業者を決めてから打ち合わせする
 相見積もりをとるときに、実にこまかな設定で見積書を要求されるお客様も多いのですが、これは商取引の精神から言ってフェアだと言えるのでしょうか?相見積もりに限らず、見積もりというものは無駄足も多く発生するものです。それは業者にとって必要悪ともいえるもので、当然のこととして受け入れています。
  しかし、実際問題として、詳細な見積書を作成するのには相当する時間が必要です。現地で確認し、会社で机に向かう、時には職人やメーカーとの再調査が必要になる。見積書作成のために数万円単位の実費が発生することは、日常茶飯事です。
  業者選択のために必要な相見積もりであれば、その選択に必要な程度の内容と精度で見積もりを作ってもらい、いよいよ業者を決定してから、詳細な打ち合わせと見積もりに入っていくという考え方が大切だと思います。あくまでも見積もりは無料なわけですから、これがフェアな態度だと思います。また、自分自身もその方が色々な意味で楽だと思いますよ。
  さらに言えば、そのフェアな態度に業者は反応します。「このお客さんは、こちらの立場も理解してくれる」との認識が一度成立すると、成約・着工後も身の入り方が違います。おかしいと言う人もいるかもしれませんが、人間とはそうしたものです。
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では、ここからは提出された見積書の見方を考えてみましょう。
4 「〜は別途」に注意する
 見積書には断り書きとして、「〜は別途費用が発生します」といった旨の表記がよく出てきます。これは本来、不測の事態やオプションについて記入するものですが、中には当然発生すべき付帯工事を別途として記入することによって、工事費をふくらませる仕掛けでつくられている見積書もあります。
 その「別途」が発生する可能性はどの程度なのか、営業マンの説明を聞くとお里が知れます。当社では、発生する可能性の高い付帯工事は最初から中に含み、「場合によっては必要がない(減額要因になる)」といった対応をしています。「そんなこともわからんのか!」と言われそうですが、リフォームとはめくるまで(解体をはじめるまで)わからないこともあるのです。
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5 単位に注意する
 新築はともかくリフォーム業者には、建築工事に対する知識が全く希薄な会社も多いのです。意外に思うかも知れませんが、相場のことが全くわからない証券マンが多く存在するのと同じようなものです。見積もりの単位に注意すると、工事に対する習熟度が判断できます。
 クロス工事の見積もりでは、「u(へいべい)」で見積もりを出してくるところは「いもすじ」です。一般的には使用する材料をベースにして「m (メートル)」で計算するものです。 「m」というのは、働き幅が約90cmのものを長さにして何メートル使用するのかという考え方です。「u」計算では小さな窓等の影響も受けますが、実際問題としてその部分は材料を切り取り処分することになるので、m計算のほうがより正確でフェアな計算になります。
 これは余談ですが、以前テレビ番組で悪徳業者の手口を教える趣旨の番組があり、そこでは一級建築士が「クロスの単位はuで出すべきでmで出すところはタチが悪い」旨の発言をしていました。笑ってしまいます。肩書きで人を判断する悪癖でしょうか、テレビの情報というものはあてにならないものです。
 同様にフローリング工事でも、「u」で出すところは「いもすじ」です。2.45m×3.35mの8.2uの6畳と2.65m×3.55mの9.4uの6畳では、使用する材料は1坪(9.9u)分で全く同じなのです。当然、手間も同じです。切って落とす幅が違うだけです。かえって狭い6畳のほうがゴミ代が高いくらいです(笑)。要するにフローリング工事の見積もりは、「坪」または「畳」でだすべきで「u」で計算できるものではありません。たとえば、少し広い6畳で7畳分の材料が必要な場合は、見積もりは「3.5坪」または「7畳」になるべきです。
  なんでもかんでも「u」でだすところは、「他業種からの思いつき参入」が多いように思われます。基本的な考え方としては、見積もり単位というものは材料をベースで考えるものですから、「u」で換算するものは左官材料・塗装材料等の無形の材料になります。それ以外の固形(有形)の材料はそれを数える単位で見積もっている会社が実践的な会社です。
  また、「一式」を非常に嫌う方もいらっしゃいますが、数量や施工の内容等により、一式のほうが自然なことも多いものです。「一式50万円」などという明細はいただけませんが、一式が全く無い見積書というのも、現場を知らない人が作りたがる、お役所的で非実践的な見積書です。
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6 「他社の見積もりをチェックします」という会社
 時々、広告などでこのようなコメントを見かけますが、これはどうでしょうか。私にはいかにも品(しな)が下がって見えます。一見、親切そうに見えて実はけっこう性根がいやらしい。他社が作った見積もりを、後でどうこう言うのは何とでも言えるものです。どんなにしっかりした見積書でも、難癖つけるのは容易なことです。
 本当に公明正大な心であれば、そんなケチくさいテクニックなど使わず、黙って相見積もりとなる見積書を提出する。そんなものだと思います。ちょっとした営業トークでその会社の本音が出ます。
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7 その他諸注意、タブー事項
 以前に一度経験したのですが、いくら忙しくても同時に複数の業者を呼ぶことは避けたほうが良いと思います。もちろん私はそんなことをする気はさらさらありませんでしたが、その気になったら相手業者と話しをあわせることなど簡単なことです。この意味がわからない人は、もう少し苦労をしないといけません。
 これもまた余談ですが、この時はお客様もどちらと何の話をしたのか記憶がさだかでなく、私が(三者そろっている場で)指摘および提案したことを相手との会話と思い込み、「先方は色々言ってくれたけど、あなたからは全くアドバイスが無かった。」と正反対のコメントをされての断りの電話がありました。私は黙って了解しました。
 次に結果的に頼まない会社にも、断りの連絡はいれておいたほうが良いと思います。これも何度も経験したのですが、非常に話しづらそうに電話がかかってきます。「以前、見積もりでお世話になった○○ですが・・・」、聞いてみると、違うことで頼みたいことがあるが前の会社はもういやだ、施工不良があるが手直しに来てくれない、思ってた内容と違うので伝えると別工事だと言われもう頼みたくない、等、色々なパターンで連絡が入ります。
 みなさん、話づらそうなのですが、これも断りの電話を一本入れ、「また何かあればお願いします」ぐらいのあいさつをしておけば、そんなに苦しい電話にならなかったと思うのです。その時は「もう縁がないかな」と思っても時間がたてば、状況や考えが変わるのはこの世の常なのです。
 最後に、リピーターとして以前付き合いのあった工務店に見積もりを依頼する時は、相見積もりにしないほうが良いと思います。隠しても雰囲気でわかるものですし、良心的な会社ほどがっかりします。「これだけ誠実にやっているのが、わかってもらえないのかな」または「少しでも安いところがあれば、そっちのほうがいいのかな」この思いは、本当に真面目にやっている会社ほどこたえます。リピーターとして見積もりを依頼するときは、「うちは、おたく一本よ」という姿勢を見せると、工務店は発奮し工事や単価には良い影響を与えます。結局は人間対人間なのです。
 「それでも不安だ」と言いたい人に一言。たとえ小規模な工事でも、一度お付き合いをしたうえで、その会社が信頼に値するかどうか判断できなければ、相見積もりなんて何件とっても一緒です。または「少しでも安ければ良い」、その考えでは、良質な工事を放棄したとも受け取れますし、その時点で「良いお客様」でなくなったお客様には「良い業者」はつきにくいものなのです。
 
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