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業者選択の時間(新築編)
〜新築編〜
  自宅の新築を考えるとき、どの会社に頼めば良いのか、迷わない方は少ないのではないでしょうか?ここでは、基本的な考え方を勉強したいと思います。
 

 まず、はっきりと申し上げたいのは、「信頼関係」が無い家づくりは絶対に成功しない、ということです。金額と仕様が自分の希望通りでも、その会社や担当者との信頼関係が無ければ、満足できる結果にはなりません。

 三菱総合研究所が行った家づくりについてのアンケートによると、77%の方が「手抜き工事がされないか不安」だと回答しています。不動産ポータルサイトHOME‘Sが行ったアンケートでも60%の方が「欠陥住宅・手抜き」が心配だと回答し、それぞれ家づくりに関する不安の中で1位です。

 つまり、私たち建設業界は「市場から信用されていない」のです。残念なことですが、事実です。こんな不安をかかえて、安心な家づくりは出来ません。

 一般の方がどんなにチェックしても、手抜き工事や欠陥住宅を施工中に見破ることなど不可能です。よほどひどい場合は、話も違うと思いますが。すると商談の段階では、プランの内容や金額も大切ですが、それ以上にその営業担当者が信頼に値するか、また気が合いそうか、といったことのほうがより重要になってきます。

そして、一番いい人を選んだら、後は信じてまかせることです。信用されてまかされたら、「よし、しっかりやろう、この人のためにいい家を建てよう」と思うのが人情です。営業マンも住宅会社も人間です。
「信用しましたよ」というメッセージを、口先だけではなく本心から伝えても、担当者の反応が弱いようであれば、担当者の変更をお願いするか、異なる会社で検討されたほうが良いと思います。少なくともそういう感受性が無い人に、いい仕事はできません。

 次に、現在この業界では、数え切れないほど多くの工法や建材があり、情報も氾濫しています。それぞれ一長一短があり、どの会社も自社なりの考え方でそれを選択し、お客様に提案します。「全て正しい」と言って過言ではないと思います。担当者との信頼関係があれば、「この人がすすめるのだから」と納得できる仕様が、その信頼関係が無ければ「こんなのがいいと聞いたのだけど・・・」とその度に悩みをかかえます。
こんな状態では、どんなに立派な家を建ててもらっても、心から満足できることがなくなります。
幸せは自分の心が決めるといいますが、それは家づくりにも言えます。その肝心な自分の心は、担当者との信頼関係が大きく影響します。
信頼できる営業マンの条件とは、

・約束を守る人かどうか
・わからないことを素直に認め、すぐに調べてくれるか
・デメリットについても話してくれるか


そして何よりも、
・自分と気が合うか、ということに集約されます。

 住宅産業研究所の調べでは、住宅を建てた人の82.5%の人が「家づくりを失敗した」と回答しています。そのほとんどが「感情クレーム」だと分析されています。結局、気が合っていないのです。

 気が合わない担当者とは、どうしても打ち合わせが雑になり、結果的にコンセントの位置や数が希望通りでない等のクレームに結びつきやすくなります。また、ささいな質問などもしにくくなり、どんどん満足できる家づくりから遠ざかってしまいます。当然の成り行きです。

 しかし、信頼関係を築くためには、もちろん住宅会社側の資質が大きいと思いますが、お施主様の側にも努力が必要です。

・打ち合わせの約束時間には遅れない
・あまりにも頻繁な変更をしない
・わがままを言わない(要求を伝えるのとわがままとは違います)


これが出来ないお施主様では、担当者の方の熱が冷めてしまいます。みなさんもご自身のお仕事で考えてみてください。「嫌なお客様」っていらっしゃいますよね。営業マンも現場監督も職人も人間です。明らかに手を抜いたりはしませんが、やはりベストを尽くしにくくなります。お施主様の側も、嫌なお客様にならない努力をしなければ、本当の信頼関係は築くことが出来ません。

 ここは大切なところですが、多くの会社ではこんなことをお施主様に申しません。それは文字通り「お客様扱い」をしているからです。しかし、それでは家づくりに大切な信頼関係が築きにくくなります。私は自分のまごころから、このことを申し上げます。

 では、家を建てるには色々な会社がありますが、どのような特徴を持っているのか、お話したいと思います。

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1 大手ハウスメーカー

 大手ハウスメーカーはなんと言っても、ブランドからくる安心感とステータスが一番の魅力です。多くの方が引きつけられるのもよくわかります。
会社のシステムがしっかりしていて、大きなトラブルも無く、住宅産業の中心に位置しています。誰もが認めるいい会社です。

 私は、家づくりにおいて信頼関係が一番大切だと申し上げておりますが、若く熱心な営業マンがそろっている大手ハウスメーカーは、むさ苦しい工務店のおやじと異なり、安心して話しやすいと思います。売るための技術を磨き、心理学の勉強までしているのです。お客様の気持ちをつかむのは、一番上手だと思います。この点で地場の工務店は苦しい立場です。

 しかし、信頼関係が大切なのは、建てるときだけではありません。この後、何十年もお付き合いが続くべきものですし、もしそうでなければ、建てるときの会社の選択を間違ったと認めているのと同じことを意味します。
言わば、営業担当者とは「住宅における結婚」をするようなものです。いい人だったからお願いした、信頼できる人だったからまかせた、といっても、大手ハウスメーカーでは、ほとんどの場合、数年で見知らぬ土地へ転勤します。

 これは好きになって結婚した相手を、数年後に強制的に変更させられるのと同じことです。私の幼馴染で誰でも知っている大手ハウスメーカーに勤めた男がいます。2年おきに勤務地が変わりました。東京から滋賀へ、滋賀から高知へ、高知から静岡へ、といった具合です。つまり、大手ハウスメーカーでは継続した良好なお付き合いというのは、自然と難しくなります。

 次に、営業・設計・施工がバラバラの複層構造の家づくりです。信頼してまかせた営業マンは次のお客様に夢中で、工事は見知らぬ現場監督が管理しています。これは当たり前の話ですが、お施主様の立場としてはどうなのでしょうか。営業と現場のコミュニケーションギャップは無いのでしょうか。

 最後に、実際に工事を行うのは地場の工務店や業者ですが、正直なところ、かなり職人を泣かせています。手間が安いという意味です。あの膨大な本社経費や広告宣伝費を考えると仕方がないのでしょうが、これでは腕のいい職人は確保できません。腕のいい職人は、手間賃のいい会社から先におさえていきます。もし、あなたが腕のいい大工なら、地場の工務店と20%〜30%も手間の安いハウスメーカーとどちらで仕事をしたいですか。

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2 フランチャイズ加盟店

 これもよくある形態ですが、一般の方の中にはどんな会社があるのかピンと来ない方もいらっしゃると思います。全国展開のTVコマーシャルで○○ホームという名前はよく聞いても、広告の社名を見ると○○工務店と、あまり知らない名前が出てくるパターンです。

 誤解を恐れずに言うと、自力で住宅産業・建設業界で生き残っていくことを放棄した工務店の集団です。
高い加盟金(フランチャイズにもよるが2000万程度)を支払い、本部が開発した商品や営業方法を教えてもらい、売上や販売棟数に応じたロイヤリティを徴収されます。また、独自の断熱パネルやソーラーシステムの販売もせまられ、当然、そこからもフランチャイズの利益に貢献します。
言わば、フランチャイズの植民地状態の会社です。

 また、実際に結果をだしているビジネスモデルをお金で買うという形態のため、未経験企業が参入しやすく、住宅や建設のプロとは言い難い会社も中には存在します。

 しかし、これもハウスメーカーと同じで、組織力で一定の仕事をしてきますから、どうしようもないほどの失敗は少ないと言えます。

このフランチャイズ加盟店の新築事業は、ローコスト住宅をうたっている会社が多いのですが、実際にお施主様が支払った工事金額のうち、どれくらいの金額がフランチャイズ本部の利益になっているのでしょうか。
それを考えると、本当の意味のローコスト住宅では無く、単に安い家を売っていると言えます。実際に私が聞いた話です。Aホームの営業のM氏は、
「網戸もオプションで、いるものをつけたら結局高い」
「自分の家は、よそで建てたい」 と話していました。

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3 分譲住宅(不動産会社)

 分譲住宅の最大のメリットは、土地から買うならとても安いということです。家は決して安くはありません。
大して値段のつかない不便な土地を大量に仕入れ、道をつけ町割をし、区画に分けて分譲します。この方法では、個別に余っている土地を探すのと比較して、かなり安い土地が手に入ります。

 営業マンはローンを通すことにも精通し、その金融ノウハウは地場工務店の比ではありません。土地の無い方が安くして家を持つのには、一番有力な選択肢だと思います。

 ちらしにも「自由設計」とうたっており、なかなか良さそうです。しかし、自由設計と注文住宅とは少し意味合いが異なります。自由設計とは、一定の仕様の範囲で間取りに多少の自由があるだけで、床材なども選ぶことができず、せいぜい一種類の床材の中で何色かの選択肢があっておわりということも普通です。対して、注文住宅とは、基本的に何でも選ぶことができるということです。もちろん、価格は相応に動いていきます。

 また、肝心の家を建てることは、地場の工務店に丸投げでほとんど関与しません。彼らの目的は家のついた土地を売ることであって、家づくりには大して情熱も無いのです。
お客様は、家を建てている工務店の名前さえ知らないことなど、日常茶飯事です。建て売りの下請けをやってきた私にはよくわかります。

 何よりも私が気になることは、「急がせる」ということです。お客様には契約を急がせます「いま、仮契約しないとこの物件は人気があるから流れてしまいます」、工務店には仕事を急がせます「○月○日までに引渡しできるようにしてくれ」。工事が進んでいれば、少々ややこしいことがあっても何も言いません。
それは全て「金利」が理由です。大きな土地を購入して分譲する会社は、その資金の大部分を借入金でまかなっています。私が以前に聞いた分譲会社の社長の話では、金利負担だけで月間1000万円になると言います。つまり、全体の工期を10%早めたら、月に100万円の利益が計上されることになります。

 これでは、詳細な打ち合わせや、現場での変更に対応出来るはずもありません。最初から急ぐことしか、考えていないのですから。

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4 設計事務所・建築家

 建築家とつくる理想の住まい、あこがれますね。これもとてもよくわかります。建築家とつくる家の一番のメリットは、本当にオリジナルの自分だけの家を作りやすいということだと思います。

 建築家の中には色々な人がいます。私は現在、「この人はいいなあ」と感じている建築家の方がいますが、はっきり申し上げて少数です。

 あくまでも私の個人的な感想ですが、自分のエゴを出し、お施主様の希望や利益が二の次になっている人がいます。自分のデザイン力をアピールしたいのかもしれませんが、「これは絶対に雨漏りする屋根」や「構造的に危険すぎる階段」を作らされたことがあります。
「これは、危ないんじゃないですか?」
「こうせな、かっこ悪いねん」

お客様からこんな話も聞きました。私より少し若いくらいの方です。妹さんが建築家さんと家を建てられたそうです。その妹さんが希望を伝えました。
「子どもが小さいから、ベランダの手すりをもう少し高くして欲しい」
「そんなんかっこ悪い、子どもなんかすぐに大きくなるから、手すりはこの高さにしておきなさい」と強く言われ、その後、ほとんど自分の要望が言えなかったそうです。
「結局、半分も自分の思う家にならへんかった」 妹さんの最後の感想です。

 私はこれを聞いたとき、度を失いそうになるほど腹が立ちました。お施主様のお金を使って自分のエゴを満たすのか!彼らにとっては「作品」かも知れませんが、お施主様にとっては「家族と暮らす家」なのです。最近、これほど不愉快な思いをしたのは記憶にないほどです。

 当然、建築家みんがこのような人ではありません。私も認めている人がいます。それは、その建築家に設計してもらったお施主様から話を聞いたからです。とても信頼されている様子がわかりました。しかし、このような事例が散見される以上、お施主様の希望や利益を省みないことは建築家の通癖とも考えられ、建築家との家づくりを考える場合、絶対に忘れてはいけないことだと思うのです。

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5 地場の工務店

 最後にここにきました。地場の工務店は一般的に言って、ハウスメーカーやフランチャイズのようなネームバリューも無く、分譲会社のように、安い土地も持たず、金融ノウハウもありません。土地と現金のあるお客様でないとお手上げといった会社が多いのも事実です。

 営業力もなく、立派なパンフレットも無く、社会的な信用もありません。存在する会社も玉石混淆で、中にはわけのわからない会社もあります。まともな仕入れルートすら無い工務店もあるのです。

 ですから、一般の方が不安に思う気持ちはとてもよくわかります。名前や安心を買う気持ちを、私は否定しません。それも立派な選択だからです。

 しかし、ハウスメーカーに頼んでも、分譲住宅を購入しても、建築家に相談しても、結局は地場の工務店が施工するのです。ハウスメーカーにも分譲系の不動産会社にも、職人は一人もいませんし、建築家も施工能力はありません。
それならば、自分で地場の信頼できる工務店をさがそう、そう考えてもおかしくないのではないでしょうか。同程度の建物は地場の工務店でも建てられるからです。現に工事をしているのですから、相当する建材・部材を選ぶだけです。地場の工務店なら、工事代金がほとんどそのまま、職人の手に渡るのです。高層ビルの本社も、モデルハウスも、莫大なTVコマーシャルも無いのですから。

 派手な人事異動もありません。気に入った担当者もそのままです。雨漏りや手直しがあっても早い対応が可能です。

 ただ、先ほども申しましたように玉石混淆です。高い会社もあれば安い会社もある。しっかりした会社もあれば、いい加減な会社もある。その判断は、

・どんな人がやっているのか
・OB顧客を紹介できるのか

 この2点を軸として、あなたがすることなのです。

 家づくりのパートナーは、あなたが選ぶものなのです。

 
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