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住宅ローンで失敗しないための考え方の時間
 よく一生のうちでいちばん高い買い物は「家」だといいますが、必ずしも正解ではありません。現在の低金利(平成十九年)ならともかく、バブルの頃は三千万円の家を買うために、一億円以上支払う住宅ローンの設定はめずらしくなかったようです。つまり、いちばん高い買い物は住宅ローンだという論法はよく耳にしますが、ではみなさんが家について勉強するほど住宅ローンについて勉強しているかというと、決してそうでもないと思います。

 ここでは、どの住宅ローンが良いか、などということは申しませんが、基本的な考え方をお話ししたいと思います。
1 頭金は積まない
 住宅購入について頭金を積むことは、これまで常識となっていました。実際にお客様の中には頭金が無いから、もしくは頭金に相当する金額は持っているが、これを出してしまうと住宅購入後、子どもの教育資金を含めて生活の手元資金が不安だからもう少しお金を貯めてからにした方が良いと考えていらっしゃる方が大勢いらっしゃいます。
  これは、失礼かもしれませんが、大間違いです。
  頭金を積むということは、支払い総額を減らす意味において「得」であることは事実です。しかし、住宅ローンは損得ではなく「リスク」で考えるべきなのです。

  もし、あなたがたくさんの現金(預貯金)を所有されている場合には、当然頭金は積むべきだと思います。その方が金利負担を考えた支払い総額が低くなるからです。
  しかし、そうでない一般の方が、頭金を積まなければ「損」だと考え、なけなしの資金を全額かき集め住宅購入に踏み切ったとしたらどうなるのでしょうか。子どもが公立の高校に行けず、私立に通うようになった。病気をして入院代がかかり、その間の収入も激減した。こんな場合に手元資金を使いきってしまっていては、生活が不安で安定しません。これでは幸せになるために買った家のためにかえって不幸になってしまいます。これが「リスク」です。頭金分の利息の支払いという「損」を受け入れることによって、このリスクを回避することができます。

  では、やはり生活資金も見てお金を貯めるのを待つべきではないか、という声が聞こえます。違います。世の中の金利が上昇局面に入っているからです。2000万円を35年で借りたとして金利が1%上昇すれば、支払い総額は約400万円も上昇します。毎月5万円、5年かけて300万円貯めたとしても、その間金利が0.75%上昇すれば、何の意味も持たなくなります。
  ですから、長期的な展望で金利上昇局面を迎えた現在では、頭金を出さずに、生活資金をキープして、フルローンを組むのが正解となります。

  不良債権で苦しんだ金融機関は、現在では債務者に対して、返しきれないような貸付は行いません。「借りられる」ということは「返すことが出来る」と考えても大きな間違いではありません。
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2 繰り上げ返済をしない
 私の両親もそうでしたが、ローン返済中に余裕ができたら繰り上げ返済をするべきだと考えていらっしゃる方が多いようです。私は繰り上げ返済はすべきではないと考えています。
  少なくとも

・サラリーマン世帯である
・子どもの教育資金が、この先まだ必要である
・何かあった時のために、使える資金がない(少ない)


この3つの条件のうち、ひとつでもあてはまるようであれば、繰り上げ返済はすべきではありません。

  その理由として、まずお伝えしたいことは、住宅ローンとは「生命保険」だと考えてください、ということです。住宅ローンには団体信用生命保険がついており、債務者に万一のことがあった場合には、ローンが完済され家族に家が残ることになっています。もちろん考えたくない話に違いはないのですが、繰り上げ返済をすることによって支払った金額は、万一の際には一切無駄になってしまいます。みなさんは、いま余裕があるからといって生命保険の掛け金を先払いにするでしょうか。多少、安くなったとしてもしないと思います。

  次に、先項でも申し上げましたが、何かあった時のために資金を手元に残しておかないと、生活に不安を残してしまいます。幸せになるために家を建てるのです。生活に不安を残しては、逆に不幸になる可能性もあります。

  それでも繰り上げ返済をされたい方に対しては、定年退職のタイミングがおすすめです。もはや、子どもの養育費も大きな問題ではなく、これまで貯めた預貯金もあり、退職金も確定したこのタイミングでは、当然、年金受給額もローン残債も確定しており、不確定要素が少なくなっているからです。「これからは大きな出費は無い」そう判断できてからでも遅くはありません。

  つまり、資金的にゆとりのある方は、繰り上げ返済をして金利負担を減らすことはいいことだと思います。しかし、そうではない多くの方は、繰り上げ返済による金利負担の削減よりは、手元資金を潤沢にしておいて、生活の心のゆとりを持つほうがより幸せになることができると思うのです。
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3 出来るだけ最長の住宅ローンを組む

 住宅会社や銀行から、資金計画のシミュレーションを見せてもらったときに、「こんなに長い間、ローンを支払っていくのか」と驚かれた方もいらっしゃると思います。長いローン期間に対して、神経質な反応を示される方も、お気持ちはよくわかります。私も長い住宅ローンをかかえています。

 しかし、ローン期間を短くするということは、月々の返済金額も高くなり、返済比率が高まります。これは非常に危険な状態だと思います。わずかな想定外の出費でも、家計の屋台骨をゆるがしたりするからです。

 長期間のローン契約を結び、余裕があれば繰り上げ返済は可能ですが、反対の場合、短期間で契約した住宅ローンを長期に変更するというのは不可能です。間違っても住宅ローンの支払いに困って、せっかく建てた家を手放すなどという悲劇は、みなさんには無縁であって欲しいのです。

 「大は小を兼ねる」と言います。住宅ローンは最長で組んでください。本当に余力があれば、繰り上げ返済すればいいのです。

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4 資金計画の基本と家計

 家を建てようと意思が固まってきたら、ローンを月々いくら支払うことが出来るのか、と考えるのが多いパターンだと思います。しかし、本来、純粋に自らの経済力を判断したい場合、返済比率に目を向けて考えるべきです。

 年収の何%を住宅ローンの返済にあてることが出来るかという考え方です。
目安としては、
年収が300万円以下の場合で25%まで
年収が500万円以下の場合で30%まで
年収が500万円以上の場合で35%まで
、の範囲でローンを組むと、大きな問題がないと考えられます。

 もし、この返済比率で、月々の支払いが苦しくなるようであれば、分不相応な自動車に乗っていたり、過剰な生命保険など、家計上に問題がある可能性があります。住宅購入は一生の問題です。この計算で余裕があっても、それは「保険」として持っておいてください。もし余裕が無ければ、これを機会に家計を見直すことをおすすめいたします。

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5 福利厚生の社内融資は危険

 ここでお伝えしたいのは、社内融資は原則「借りてはいけない住宅ローン」だということです。社内融資はそもそも福利厚生の一つですから、会社から社員に向けてのサービスです。3項で申し上げたように、住宅ローンとは最長で組むべきものであるのが、必然的に定年退職までの期間になるので、どうしても返済比率の高いものになってしまいます。

 また、団体信用生命保険が掛けられておらず、この点で他の住宅ローンと比較して圧倒的不利に立ちます。万一のことがあった場合、団信の掛かっている住宅ローンでは、生命保険で支払いが完了し、家族に家と退職金が残ります。ところが、団信の無い社内融資では、退職金はローンの支払いに充当され、不足金額を請求されることになります。金利が少し有利なぐらいでは、うかつに頼むことが出来ない危険なローンなのです。

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6 住宅ローンを組む時期はいつか?

 将来、家を建てたいが有利な時期をさぐっている、または教えて欲しいという方がいらっしゃいます。いまです。経済情勢をはずして、個人的な事情に立地して考えて見ます。

 一部の特殊な方をのぞいて、ほとんどの方は人生における総収入金額というのはほぼ決まっています。際限なくわいてくるものではありません。つまりその総収入金額の使い方のコントロールをする必要があります。

 家賃はどこまで払っても家賃であり、「無期限の出費」です。しかし、住宅ローンは金銭消費貸借契約に基づく「期限のある出費」です。マイホームに夢があるのなら、限りある資金をいち早く住宅ローンに投入するのが正しい考えだと私は信じます。メンテナンスの費用等の出費も早く始まることになりますが、それでも家賃より有利です。結局、家賃は大家さんが支払うべきメンテナンス費用も含んだ金額だからです。

 それが証拠に、もし、住宅ローンと家賃の支払い金額が同じであれば、賃貸の方がずっと狭い部屋で、住宅設備も簡単なもののはずです。

 経済情勢が気になるのも理解できます。バブル期に住宅を購入された方は、ずいぶんひどい目に遭いました。しかし、現在は土地価格も反転の様相を呈し、金利は上昇トレンドに入りました。経済情勢から言っても、早ければ早いほうが有利だと言うことが出来ます(平成19年10月記)。

 
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