 |
素材を考える |
|
屋根材には、いわゆる瓦葺きやカラーベスト、はたまたトタン屋根まで、いろいろな素材があります。何を選ぶのか迷うところですが、ポイントは自分にとって何が重要なのか、ということです。一般的に高価なものほど、厚みがあって重たく、断熱性に富み、耐用年数が長いといえます。和瓦(日本瓦)などは、地震に弱いと言われますが、夏の暑さや冬の寒さをやわらげ、住み心地としては最高のものです。しかし高額なものですから、残念ながら私の家はカラーベストです。これは安いのですが、夏は暑い!そして塗装等のメンテナンスのサイクルが早い!でも軽いから地震には強いらしい。
結局、イニシャルコストが安くつくものはそれなりにデメリットがあるということです。現在の自分にとって何が大切なのか、よく考えることが大切です。地震については、後にふれることにします。 |
| ▲ページのトップに戻る |
 |
軽量瓦のウソ |
|
上記内容から、和瓦とカラーベストのいいとこどりをしようとした商品が現れました。いわゆる軽量瓦です。厚みをだすと重たくなるので、薄いもので波状のものをつくり、厚みをだすことによって断熱性を高めようという商品なのですが、非常に中途半端なものができてしまいました。軽いと言っても、カラーベストより重く、断熱性があると言っても、和瓦に劣り、そして値段は一番高い。それよりももっと重要なことは、割れたり変形したりというクレームが非常に多い商品だということです。考えたら当たり前ですが、薄いものを変形させて厚みを出そうとしているのですから、さもありなん、といったところでしょうか?
ところが業者の中には、一生懸命、軽量瓦をすすめているところがあります。これは、単価が高くなるからです。メーカーのうたい文句を本気で信じているほどおめでたい業者は、そうはいないと思いますが・・・。 |
| ▲ページのトップに戻る |
 |
形状を考える |
|
これは、すでにすんでいらっしゃる場合には、増築時ぐらいしか気をつけようがないのですが、メンテナンスの考え方としても前向きに読んで見てください。
まず、一押しは「切妻(きりづま)」の屋根です。まず、同じ瓦を使っても費用が安い、雨漏りしにくい、工期が短い、等いいことずくめです。「寄棟(よせむね)」も悪くないのですが、uでの単価はやや高め、また山部分が傷みやすい、という欠点を持ちます。洋風の建物では美観的には落ち着きますが。
「入母屋(いりもや)」は費用も高くなり、結構ぜいたくなつくりですね。現在では、田舎建ちの百姓家ぐらいでしか、見ることが少なくなってきました。 |
 |
形状の分類よりも大切なことは、「建物の形を複雑にしない」ということです。上から見て、L字型であったり凹凸が多い建物では、屋根に「谷」ができます。これが非常に曲者で、比較的、築年数の若い建物での雨漏りは、ほとんどがこの谷から発生しているといっても過言ではありません。理想的には、きれいな四角形(長方形がおおくなると思います)が一番雨漏りの心配が少なく、構造的にも強い建物となります。
外観にこると、出入りの激しい建物を造ったりしますが、高コストの要因となり、メンテナンスも難しいものになります。では、すでに屋根に谷がある建物に住んでいる場合はどうすれば良いのか?谷の板金を10年に一度程度やりかえることがおすすめです。「うちはまだ雨は持ってへんで」とおっしゃる方も多いのですが、漏る前にするから値打ちがあるのです。身体に例えると、成人病になってから食事制限したりするのと、なる前から管理してならないのと、どちらが望ましいことでしょうか。 |
| ▲ページのトップに戻る |
 |
メンテナンスを考える |
|
建物は様々なメンテナンスが必要な少々やっかいな資産なのですが、中でも屋根のメンテナンスは非常に重要です。微妙な雨漏りを長期間放置していて、大掛かりな改修工事を余儀なくされた例をいくつか経験してきました。
まず、一番のメンテナンスは「塗装する」ということです。屋根材は本来、雨水をはじくようにつくられています。ところが、長い年月使用しているうちに、雨水をはじく力が弱くなってきます。これを、塗装の力で補ってあげよう、という考え方です。もちろん、和瓦用やカラーベスト用など、専用の塗料があります。
サイクルとしては、海沿いや気象条件等、地理的な要因もありますがおおむね15年に一度程度の塗装工事が有効だと思います。ちなみに、カラーベストの塗装はどこの工務店でも二つ返事で引き受けてくれると思いますが、和瓦の塗装工事は経験のない会社が多いのです。私も経験のある職人を捜すのに時間がかかりました。
次に、和瓦のしっくいですが、これも年数が経つとめくれてきたりするので、同じタイミングで補修が必要です。しかしこの工事は驚くほど素人工事が横行していて、業者選択には注意が必要です。しっくいは「のし瓦」よりも面落ち(出来れば1寸以上)になっていないと、かえって水を呼びこんでくるものなので、「ちり」が確保できない場合既存のしっくいをめくってやりかえます。ところが、いい加減な業者は安くあげるということが至上課題で、何も考えずベタベタ塗りまくり、瓦よりもしっくいの方が出ているなんてことがめずらしくありません。
このような業者の特徴として、瓦を1枚ずつコーキングで止めるという工事をよくすすめます。これがしょうもない工事なのですが、結構高い。なぜ、これがしょうもないのかは、後述します。 |
| ▲ページのトップに戻る |
 |
外観からわかるメンテナンス必要度チェック |
|
塗装によるメンテナンスというのは、屋根材が本来持っている雨水をはじく力を補おうとするわけですから、雨水をはじいているかどうかというのがポイントになります。瓦に苔(こけ)がつくようになってくると、これは雨水の切れが悪くなっている証拠です。つまり、瓦の表面にじっとりと水分を含みはじめた状態になってきたということです。
次に起こる症状は、「凍て(いて)」です。瓦の表面が水分を含むようになってくると、問題点が二つ発生します。一つは、下地となっている木部を傷めてしまうということです。もう一つがここでいう「凍て」ですが、これは冬の寒い朝に、瓦の含んだ水分が瓦の内部で凍ろうとし、膨張するために瓦の表面がペロッとめくれたような状態になることです。理屈でいうと、家庭の冷凍庫で氷をつくる時に、はった水のかさよりも出来あがった氷のかさの方が高いのと同じです。それを瓦の内部でやってしまうということです。
これは、釉薬の瓦などでは、瓦の上薬の色と異なり地肌の赤茶色の部分が見えている、といった状態に代表されます。よく、のし瓦のところで出てきます。
この症状がでてくると、もう塗装による補修というのは時期を逸していますので、やらない方が賢明です。いけるところまでいって(これが工務店の発言か)、葺替を考えるのがベストです。
ここで先述の瓦のコーキング止めについてふれますと、所詮、固定をしっかりするというだけが眼目の工事なので、老朽化してきた瓦はもとに戻らないということです。それでも「台風の時でも瓦が飛びにくい」等の営業トークはあると思いますが、その補修を考えた時点でそれなりの年数が経っているはずです。では、次の葺き替えまでにその費用を使う値打ちがあるかどうか。私は無いと思います。その資金をプールして近い将来、来るべし葺き替えに備えるほうが、ためになるのではないでしょうか。
でも、会社によってはすすめるところも多いと思いますよ。利益率の高い工事で、職人も一人前の瓦職人が必要ないですから。工事には「お客様の為の工事」と「業者の為の工事」があるものなのです。 |