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住宅の性能の流れの時間

  • 耐震性能はほぼ完成形、山登りで言うと8合目、頂上は目の前 

 耐震については早くから規制が始まっています。市街地建築物法という法律が改正されて、すじかいの設置義務が始まったのは1924年、なんと大正13年、100年近く前のことです。そして現在につながる建築基準法が制定されたのは1950年、つまり昭和25年、終戦後5年のことです。その後も大地震による建物の被害が発生するたびに何度もルールが改正されています。どんどん基準が高くなってきているわけです。

 特に重要な改正は昭和56年6月の壁量の再強化、平成12年6月の壁のバランス基準を設けたこと、HD金物の設置の義務化です。この二つの改正が区切りとなり、昭和56年5月以前の建物を旧耐震基準、それ以降の建物を新耐震基準、そして平成12年6月以降の建物を現耐震基準と言います。

 この耐震についての規制で特筆すべきことは、その平成12年つまり2000年のルール改正以降、大きなルール変更がないことです。20年以上もルールが変わっていないのです。これは現行のルールで充分であると国が判断していると言ってもいいかと思います。これだけ技術革新が進んでいる世の中で20年以上も基準が変わっていないのです。これからも大きく変わるとは考えにくいと思います。つまりこれから家づくりや住宅会社選びをするときに、耐震はそんなに気にしなくても会社による差が小さい分野だということです。

  • 断熱性能はまだ道半ば、山登りで言うと5合目    

     断熱性能については、そもそも議論が始まったのが1973年のオイルショック以降のことであり、耐震と比較するとかなり遅いスタートです。初めて一定の基準ができたのが1980年の旧省エネルギー基準ですが、これは現在の断熱等級2にあたります。そして1992年に現在の断熱等級3にあたる新省エネルギー基準、1999年に現在の断熱等級4、また後にできたBELSで言うと☆にあたる次世代省エネルギー基準が作られましたが、残念ながら、基準ができただけで義務化されていません。つまり断熱性能を低い家を建てても全くおとがめがないわけです。耐震のほうはこの1年後に現在の完成形になっていますので、雲泥の差があります。

     2012年にも低炭素建築物認定制度というのが始まりました。いわゆる認定低炭素住宅です。現在でも税制優遇や補助金が活用できる高断熱住宅ですが、やはりまだ何の義務もありません。以前として、断熱性能の低い家を建てることが許されてきました。

     大きな流れができたのが2013年改正省エネルギー基準です。この改正省エネルギー基準はBELSで言うと☆☆程度の高断熱で、この性能が2020年から義務化されることになり、我が国の住宅行政では特筆すべきターニングポイントになりました。しかし、その直前の2019年、依然として省エネ性能の計算ができる事業者が少ないために「義務化を強行するとマーケットが混乱する」という理由で義務化はなくなってしまいました。その代わり、担当の建築士が「この建物は本来2020年から義務化される予定であった改正省エネルギー基準を満たしていませんがそれでもかまいませんか」という説明をせよということになりました。つまり住宅会社とお施主様の同意があれば、断熱性能の低い家を建てることはいまだに可能だということです(2021年12月現在)。

    • 空気環境性能はようやくスタートを切った、山登りで言うと1合目  

     空気環境性能については更にスタートが遅れています。ようやく問題になってきたのは、1996年に旧厚生省・旧建設省が「健康住宅研究会」を設立した頃からです。その翌1997年、旧厚生省がホルムアルデヒドの室内濃度指針値を出しました。これを断熱に例えると1980年の旧省エネルギー基準に該当するかと思われますので、断熱と比べると17年遅れになります。2003年には建築基準法が改正され、クロルピリホスの使用禁止、ホルムアルデヒドの使用規制、24時間換気設備の設置義務化などが決まりました。これを世にシックハウス法と言います。これは耐震に例えると、1924年の市街地建築物法改正に該当するかと思われますので、耐震と比較すると実に79年遅れになります。


     つまり空気環境性能、シックハウス対策については、現状ではいけないという認識を共有しつつも、業界全体で目指すべき家づくり像が定まっておらず、ごく一部の工務店のみがその答えを抗酸化住宅に見出して取り組んでいます。しかしまだその必要性すらも理解されない住宅会社が多く、さながらこの様相は30年前の高断熱住宅のようです。30年前は高断熱住宅と言うと一部のマニアの人が欲しがる家だという印象も、なきにしもあらずでしたが、現在は当然のニーズになっています。私は30年後の抗酸化住宅もきっとそうなっているだろうと考えています。

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