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熟練度が問われない時代

先週、とても考えさせられる話を聞いた。関東の会社だが、本業は鉄道で、事業多角化の一環で住宅部門があるという。

その住宅課の課長さんの話だが、会社の体質上致命的な欠点があるとのこと。入社してくる社員は鉄道会社に就職しているので、住宅産業に志を持ってやってくる社員がいない。つまり、建築に携わりたくて入ってくる社員がいない。しかし、能力は高く適応力もあるという。大手なので優秀な人材が集まるとおっしゃる。つまり、決められたことをやりとげる力はある。

しかし、5年サイクルで人事異動があり、住宅部門でも5年以上のキャリアを持ったものはほとんどいない。つまり仕事を覚えた頃に、鉄道やバスなどの他部門へ異動となる。だから、3年も住宅課にいると、「そろそろ異動かな・・・」と考えて仕事に身が入らないという。つまり構造的に、住宅産業に熟練した社員を期待していない。

その課長自身も、住宅課に来る前は路線バスの部門におり、家を売る仕事なんか考えたこともなかったとのこと。つまり、特に住宅に関心もなく、思い入れも無く、キャリアも不足している、私から見れば素人のような集団。

その会社がバカにならない実績をあげる。75名のスタッフで92.5億円(平成21年3月期)を売り上げる超優良会社だ。スタッフは入れ替わるから、リピートや紹介にも強くない。正味、新規で売りまくる。スタッフは弊社の20倍、売上は弊社の30倍、一人当たり売上でもボロ負けの現実。

結局、システム営業の勝利である。個々の社員の力量に頼らず、会社でベストの販売システムを確立し、時刻表通り電車やバスを運行するようにシステムを遂行する。なるほど、理屈はよくわかるが、これほどまでに型にはまった実例があるとは思わなかった。

以前より、個人営業の時代は終わりシステム営業の時代になっているとは認識していたが、こんなマンガみたいな会社があるとは信じがたいほどだ。これからの社長業は、システムを作り、良い人材を確保し、システムの遂行に徹底する、これが仕事の核となる。

ホームランを打てても、サイン通り送りバントができなかったり、平凡なゴロをエラーする社員は必要なくなる。ホームランを打ててもだ。まして、ホームランやヒットが望めないのに、エラーする社員は・・・それは昔からいらんか。

わかりにくい方のために解説すると、大型契約を個人の能力で受注できても、会社の決め事が守れない社員はいらないという意味だ。つまり個人の営業能力よりも、会社のシステムを遂行する能力の方が優先されるということ。

個人的な好みもあるとは思うが、時代は確実に熟練度を問わなくなってきた。それでも、はやり熟練せんといかんやろう!お客様が虎の子の大金を使う住宅産業だ。いくら売れたって、知識や経験が不足し、まして住宅にたいして思い入れのない社員に接客させるなんて、失礼きわまりないのではないかと思うのだが、私は古いのだろうか。

私が施主なら、自分の家は、知識や経験があって住宅に対して思い入れのある人に建てて欲しい。百歩ゆずって、若い担当者で知識や経験に不足があっても、少なくとも「一生、住宅産業でメシを食っていく」と思い入れのある人に建てて欲しい。最低限、後輩をバックアップできる先輩社員がいる会社に頼みたい。その先輩も5年未満か・・・。それでも売れる。

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こんにちは、吉信秀樹です。
先週の金曜日は住宅産業塾、土曜日は午前東京で会社訪問、午後静岡で会社訪問と勉強漬けでした。それぞれ2時間ほどおじゃまし、すっかり仕事の手を止めてしまいましたが、本当に親切にしてくださり、深い感謝の念とともに恐縮しきりでした。私もはやく自慢できるものを作り上げ、少しでもお返ししたいです。報恩の気持ち、忘るべからず。かけた恩は水に流せ、受けた恩は石に刻め。
では、またお会いしましょう!

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