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6年前の記憶(後編)

さて、その不動産屋さんが連れてきたサッシ屋さんも、できないと判断し、不動産屋さんは釈明に困ったようです。

当時、私はほとんどの大工仕事を自分でこなしていましたので、その時も現場でトンカンやっておりました。ネクタイを締めた若い営業マンが名刺を差し出し、私に話しかけてきました。

「難儀なことになりましたねえ」
「まあ、しょうがないですね」
「一つお願いがあるんですが、『普通はできるけど、ここは特殊な要因があってできなかった』と口裏を合わせてもらえないですか・・・」
私はしばらく無言でした。

「相手は素人ですから、プロが二人で言えば、通りますって。私からもこれは仕方なかったと言えば、ダイヨシさんも追加でいただけるでしょう。うちは顔がたつし、ダイヨシさんも損しなくてすむじゃないですか」

「私はもう、はっきりと自分の責任でちゃんとすると言いました」
「それも聞きましたけど、まだ何とでも言えるじゃないですか」
「ここのMさんは、非常に私を信頼してくれています」
「はい、それもMさんから聞きました」
「その私が目先のお金のために事実をまげて、そんな話に乗れると思いますか?」
「でも、それでいくらかかるんですか」
「それは余計なお世話でしょう。私はおたくさんに少しでも持ってもらおうか、などという気はもうとうありません」
「でも、メンツもあるでしょう」
「男のメンツは間違わんことじゃなくて、スジを通すことでしょう」
「あのサッシが交換できないなんて、普通はわかりませんよ。あなたもわからなかったんでしょう」
「だから、恥ずかしいし、自分でケツをふくんやないか」
最後は声を荒げました。

話は最後までかみあわず、どうやら彼は私のことを異常人だと認めたようでした。まっとうなことを言うと、変わっていると判断されるこの世の中は、ずいぶんおかしくなってしまいましたね。私が子どもの頃は、もう少し仁義があったと思います。
結局、約束通り、自腹でやりきりました。このやりとりを自宅ですると、妻は「もっと要領よくやってもいいのとちがうの」などと言います。「男っちゅうのは不自由なもんなんや、損得ばっかりで要領ようたちまわっとったら、男の看板下げんといかんわ」と軽いケンカをしたことを覚えております。
妻にすれば、「そのぶん、家計にまわしてくれ」というのが本音だったのでしょう。当時は「無駄使いしたらいかん」とよく言っておりましたので。

車で現場に向かっているあいだ、ずっとこのことを考えていました。いまでも、私は正しい選択をしたと思っています。だって、いつ思い出してもさわやかですから。人間は、これが一番の財産です。

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こんにちは、吉信秀樹です。
最近、一念発起して、毎朝自分でトイレ掃除をしています。自宅と会社の3箇所全てです。成功者の多くの方が「トイレ掃除はいい」とおっしゃるからです。だまされたと思ってやっています。大げさですが、修行のつもりです。しかし、今朝は初めてうっかり忘れてしまいました(苦笑)。我ながら、何とも頼りないことです。
では、またお会いしましょう!

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