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大工の条件

6月のことです。旧聞で恐縮ですが、平成建設の秋元社長の話をうかがった時のことです。

平成建設さんとは、大工や職人になるために全国の一流大学から入社希望者があとを絶たない、業界では相当に有名な会社です。静岡は沼津です。

その秋元社長の言葉で忘れられない言葉があります。「大工には教養が必要だ。教養のない大工はただの取り付け屋だ」という言葉です。

確かに、昔は大工を「棟梁」と呼び、棟梁が専門の職方を集めて請負をしてきました。ほんの20年ぐらい前までは、それが普通だったと思います。多くの職人を使い、人生の成功者であるであろうお施主さんと気の利いた会話をするのに、教養がないと間が持たなかったのでしょう。

ところが現在では、請負は大手のサラリーマンが行い、大工は単に木工事をするだけの存在になってしまいました。つまり「棟梁」と呼ばれる人がいなくなってしまった。言い換えると人間力が以前ほど求められなくなってきたということです。

おそらく、秋元社長がおっしゃりたいのは、「本来の大工とは棟梁のことのみを指す」ということではないのでしょうか。

それはさておき、棟梁は自分で材木を選び、それをとても大切に使ったものです。私の叔父も大工ですが、一度、一緒にきざんだことがあります。材木を指差し「これはお金や、一寸でも無駄にするな」と教えられました。

現在では、大工は自分で材木を買うことがずいぶん少なくなりました。元請のハウスメーカーやリフォーム屋さんなどが材木を段取りしてくれ、大工は材料を使うだけの存在になりました。

私は必ずしもこのせいだけではないと思っていますが、最近の大工は材料を大切にしなくなってきました。私の親方は「3回はかって1回切れ」が口癖で、修行時代は1日に10回以上聞かせてくれました。

おかげで、私はそういう基本が身に付いて、うかつに材料を切って無駄にしたことはありません。親方にも一度も叱られたことがありません。そうですね、私としては色々厳しく叱って欲しかったのですが、残念ながら本当に一度も叱られたことがありません。

しかるに、最近の大工さんを見ると、無造作に材料を切り無駄にしてしまう姿をよく見かけ、「そつ(無駄にして捨てる部分)を減らす材料の使い方が考えられない大工は、棟梁以前に取り付け屋の大工ですらない」と感じるのです。

最近、何を書いても「あれ、僕のことですか?」なんて聞かれたりするのですが(笑)、決して特定の大工さんについて書いていません。うちのジュンも含むです。恥ずかしながら、私の教育不足です。

教養だとか難しいことを言うつもりはありません。教養なんて私もほとんどありません。でも材料を大切にする心、少しでもそつを出さない工夫、そんなことが身に付いていないと、大工と名乗ったらいかんと思うのです。

PS 偉そうに書きましたが、私自身、たいした大工じゃないんです。せいぜい大八か大七ぐらいです(大工に足らんという意味)。すごい人はほかにいます。でも、お客様から頂戴したお足で買った材木を大切に使う気持ちは、そのへんの大工さんに負けません。

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こんにちは、吉信秀樹です。
先日の男親と女親の愛情について質問がありました。私が思うのには、「失敗しないようにサポートして導いてあげる」のが女親の愛情。「痛い目にあって、自分で覚えていき」というのが男親の愛情。そんな風に思っています。
では、またお会いしましょう!

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