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2025.05.17
大工さん・職人さん不足の理由
大工さん不足の理由を解説するユーチューブを見ました。いわゆる3K(危険・汚い・きつい)を中心として、建設業界の経済情勢をふまえながら説明されていました。どれもこれも一理はありますが、この問題の本質はついていないと思います。物事の表面ばかり見ているわけです。
大工さん・職人さんのなり手が少ないのは色々な理由があります。この本質は二つにつきます。後の理由は間違ってはいませんが、おまけです。
その一つ目はやはり高学歴社会です。今は特に背伸びをしなければ誰でも大学に行ける時代なんです。昔、受験戦争という言葉が世の中で使われた時代と比較して、大学の定員数は30%程度増えていると聞いたことがあります。
おまけに少子化の現在、70%の私大は定員割れだと言います。つまり一部の人気大学以外は、大げさに言うと願書を出せば合格する時代です。
この職人の世界は昔から、学歴社会に適応が難しい人の受け皿になってきた業界なんです。まあ言うと、「勉強したくないから職人でもするわ」という人が一定数いたわけです。
ところがそんなに勉強せんでも大学に行けるとなると、「大学ぐらい行っとこうか」となり、大卒の資格を得ると、やはりスーツを来てできるような仕事につきたいわけです。このことは、ご本人よりも親御さんのそうにその気持ちが強くあります。「大学まで出て、職人せんでもええやろう」と思うわけです。
これが職人不足の最大の理由です。
次に、若者の意識の社会主義化と言うか公務員化の加速が考えられます。そんなに仕事は頑張りたくないけど安定が欲しいという若者が増えているわけです。出世はしたくないけど、大企業に行きたいってやつですね。大工をはじめとする職人ははたいていの場合、個人事業主の扱いになり、福利厚生は無いに等しいわけです。賞与も定期的な昇給もありません。すると職人なんて真っ先に若者から敬遠される仕事になります。
つまり、昔から大工や職人になりたいという人は、お金や待遇を求めていたのではなくて、純粋に仕事に関心があった人か、勉強から逃げてきた人の2種類に大別されてきたわけです。それが現在はどちらの人も減ってきているということですね。頑張りたい人もいないし、大学に行けない人もいない。
大工不足を解消しようと思ったら、企業が大卒の人を正社員で採用して、社会保険など福利厚生をしっかりしてサラリーマンとして育てていくことが必要だと思います。ちなみに私はこのことに志を持ち、これまでに大卒大工として4人採用して育てようとしてきましたが、残念ながらうまくいきませんでした。
これについては、お伝えしたいことはいっぱいありますが、またの機会にさせていただきましょうか。
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こんにちは、吉信秀樹です。
今週はなかなか忙しかったです。明日からお休みをいただいて妻と羽を伸ばしてきます。
では、またお会いしましょう!
カテゴリー: 政治経済